この時の友達と再び遊んできた。
彼が会うなり「バッファロー'66」
ヴィンセントギャロの
ガッツポーズのモノマネと
くるり岸田繁のダンスのモノマネを
披露してきたので逃げ出した。
そんな彼の提案で古本屋巡り。


1軒目は大通り沿いに建ち
綺麗に本が並べられていたが
女性店主のやる気という物が
丸っきり感じられない店だった。
品揃えは彼曰く「初心者向け」。
その割には岡嶋二人
「クリスマス・イヴ」だけは
3冊もあった。あれは良かった。


2軒目は1軒目の道路の向かい側に建つ
随分と新しい感じの内装の店。
文庫本は少なかったけど
音楽関連の本は充実していた。
僕は「楽器の歴史」という本を見つけて
欲しいなと思い値段を見てみると
定価3000円がなんと5000円になっていた。
え、何?プレミア?
流石に高くて買う気も失せ
MUSIC MAGAZINEの増刊号を1冊買い
店を出た。すると友達が
「店主との駆け引きに勝った!」と
語ったのだがあの店内でいつ
そんな事が行われていたのだろうか。


3軒目はアーケードの中で
1軒だけタイムスリップしてきた様な
明治の匂い溢れる佇まいだった。
店内には森鴎外全集やら世界の名作集やら
第2次世界大戦の模様が白黒写真と英語で
綴られたとにかく古い本が並んでいた。
店主は僕らの存在など無かったかのように
テレビの総裁選中継に夢中で
小泉首相の再選が決まるや否や
「やったー!」と叫んだので早々に店を出た。


4軒目は裏通りにある平屋。
その向かいにあった
「女性専用酵素浴」という看板にも
興味があったのだが警備が厳戒で
泣く泣く古本屋の方に入った。
しかし僕らに目に飛び込んできたのは
共産主義に関する専門書群
社会主義に関する専門書群
赤旗新聞の関連書籍などで
あ、違うと思い店主を見ると
何と赤旗新聞を読んでいたので
僕らはここにいちゃダメなんだと悟り
逃げるようにして店を出た。


ここで一旦休憩のため(まだ行くの?)
茶店に入り4軒目の店はどうやって
収益を出しているのかについて
30分くらい話し合ったけど結論は出なかった。


5軒目の店はお洒落な美容院と
コンビニに挟まれ異様な雰囲気だった。
軒先に赤旗新聞の本(しかもハングル)
があって僕らは絶望したのだが
入ってみるとこれが天国。
ミステリの文庫本ばっかりで
どこから買って良いのか迷う品揃え。
このままでは財布が空になると思い
泣く泣く岡嶋二人の本で行方不明だった
「殺人者志願」を購入。
光文社から出ている岡嶋二人の本は
遭遇率が低いのでこの店にはまた来よう。


僕の記憶があるのはここまで。
その後も友達に付き合って
一生分の古本屋に行った気がするが
最早どの店がどうだったのかさっぱり。
ただひたすらうつむく僕に友達は
「この店は良心的、あの店には勝った。」
などと語り続けていたような気がする。
こんなに1日でたくさんの古本屋に
行くことは二度とないし、したくないが
1つだけ分かったのはどの本屋にも
エロ本はあると言うことだ。
特に緊縛物が多かった。